領収書、ちゃんと保存していますか?

税理士として 税金

さて、前回に引き続き領収書ネタです。

でも、この領収書についての素朴な疑問ってホント多いんです。

 

なんとなくボヤーっとしたイメージはあるけど、

「何故やんなきゃいけないの?」

という事がはっきり解っていなければ、

「面倒くさい!」

とか

「ジャマだな~」

とか、思ってしまいますよね。

 

というわけで、今回は領収書の「保存」についてです。

 

前回は「ちゃんととっておいてね」という話をしましたが、

じゃあ具体的には

「いつまで?」

「どうやって?」

がはっきりしていないですね。

 

領収書につきましては

「自分自身の身を守るために保存しておく」

という事でしたので、

「もう大丈夫だ!」

と、はっきりするまではとっておかなければ意味ありません。

 

その期間は法律で決まってまして、

所得税法や法人税法などの「税の世界」では9年間の保存義務があります。

でも、相手は税務署だけでなく裁判所の可能性もあります。

そうなると別の法律で10年間の保存を求められています。

(平成30年より、税の世界でも10年間になってしまいました・・・)

 

「えっ、そんな長い期間?」

と思われるかもしれませんが、これはそれぞれの法律で、

俗にいう時効というヤツが決まっているからです。

 

「もう大丈夫だろう」

と判断できる時期は、やはり法律上で時効を迎えたときですよね。

 

「先生、ウチの倉庫の中の半分は商品じゃなくって、書類関係だよ」

なんてことをクライアントからグチられます(笑)

 また、

「東京の湾岸地区の倉庫街にあるのは、そのほとんどが商品じゃなくって

デカい会社の領収書とかなんだよね」

なんて話も聞いたことがあります。

 倉庫

 

みんなそれくらいコストをかけながら、イヤイヤでも保存しているんです。

 

「そんな・・・すごいジャマなんだけど!」

 

当然そんなこと思いますよね。

じゃあどうするか。

 

そこで、「どうやって保存しておくか」ってことですが、

領収書って通常は紙で渡されますよね。

でも、法律上は必ずしも紙であることに限定はしていません。

最近ではメールとかにPDFとかで添付して送られてきたりします。

 

「もともとPDFで来るんだったら、何も紙にする必要はないじゃん」

とか、

「紙だとかさばるしジャマだから、スキャンして残せないかな?」

とか思ったりしませんか?

 

吉田は結構思ってたりします。

 

「じゃあ、どうにかなんないの?」

と思うのですが・・・

 

一応「電子帳簿保存法」なる制度がありまして、これだと領収書などの原始記録や

帳簿などはデジタルデータでの保存が可能になります。

 

「これなら紙での保存から解放される、なんてすばらしい制度なんだろう!」

と思いましたが、そこはやはり国が考えることです。

 

事前に申請したり、スキャナ機器などのシステムに制限があったり、写真保存ではダメだったりと、

いろいろと条件が付いていてあまり使い勝手は良くありません。

 

それより何より

一番「ふざけんな!」と思うのは、

デジタルデータでの保存という事は当然PCに保存するわけで、

そうすると、例えば税務調査の時に、PCの中のデータを関係ないものまで

全部確認されてしまう可能性があるってことです。

そして、税務署の調査官には質問検査権ってヤツが与えられていますので、

基本的に拒否できないんです。

 

そうなると、他人に見られたくない画像やメールや、あれやこれやが・・・

 

なんて冗談はさておき、

 

近年の税務調査とかでは、あれやこれやとその場でファイルを開かないで、

会社PCのハードディスクを丸ごとコピーして完全解析することくらいはしますので、

痛くもない腹を探られかねません。

(昔のlivedoorやSOFTBANKなんかはこれで結構痛い目見てます)

 

となると、「やっぱ紙での保存が一番無難かな?」なんて考えてしまいます。

 

たまに、「とりあえずPDFにでもしておいて、必要な時にプリントすればいいじゃん」

って、言っている人もいますが、その「いざッ!」って時ほど大慌てでプリントするため、

結構忘れ物が多いんです・・・・・

 

さらには、この「保存する」とはどういう状態なのかといいますと、

「要求があった場合にはすぐに見せることができる状態」

のことをいいます。

 

でも、紙での資料を10年分もこの状態にしておくことは、さすがに邪魔だと思いますので、

とりあえずは3年分くらいを近くに置いておくことをおススメしてます。

 

なぜ3年分かというと、やはり税務調査では、とりあえず直近3年分を調べることが多いからです。

 

この3年分で足りない場合には改めてそれ以前の分を要求されます。

 

やはりここは腹をくくって、

最低必要な資料は紙で保存する。

3年分はすぐに判る所に置いておいてあとの7年分は他のどこかに置いておく。

倉庫のスミでも屋根裏でも、なんなら田舎の遠隔地でも、捨てなければどこでもいいんです

 

コツとしては、一年ごとに段ボール箱にでも入れておいて、10年超えたヤツからとにかく捨てる。

開けることなく箱ごと一気に捨てる。

 

という原始的な方法が、いまだに一番有効だったりします。

 

まとめてみますと・・・

 

保存期間は10年

 

保存しなければいけない書類は

「自分が発行した請求書、納品書、領収書等の控え」

「相手からもらった請求書、納品書、請求書等」

 (これらをまとめて「原始記録」といいます)

「総勘定元帳」

「決算報告書」

あと、これらを作るために必要な契約書などの資料一式です。

 

改めてまとめると、スゴイ量を長い期間要求されていますね(汗)