役員報酬、真剣に考えていますか?

税理士として 税金

会社にとって決算数字が決まるというコトは、同時に株主総会についても考えなければいけませんよね。

株主総会で考えることといえば、

「来期以降の役員をどうするか?」とか

配当金をどうしようか?」とか・・・

でも経営者にとって一番頭を悩ますことは、向こう一年分の役員に対する給与、

すなわち役員報酬の額をどうするかではないでしょうか。

 サラリーマンとお金

会社が働いてくれた人に対する報酬として支払う給与ですが、

もらう側からすれば、

「ありがたいと思う人」

「自分に対する評価だと思う人」

「当然の権利だと思う人」

人それぞれだと思います。

 

でも、共通して言えることは、

「勤め人はこれがないと生活できない」

ってことですよね。

 

給料って、法人税法では大きく分けて2つの区分に分かれています。

経営者に対する「役員報酬」と従業員に対する「給与」です。

 

このうち「給与」はあくまで従業員に対する労働の対価ですので、

これに対して税法はあまりとやかくはいいません。

でも「役員報酬」については、自分の取り分を自分で決めるため、

いろいろと細かいルールがあります。

 

会社法においては、

役員報酬は定時株主総会において向こう一年分の報酬の総額を決議しなければなりません。

なぜかというと、会社のオーナーはあくまで株主なので、オーナーからの許可なしでは、

勝手に役員報酬を決められないのです。

(当然といえば当然ですね)

 

そして、実は役員報酬って法人税法においては原則損金不算入なんです。

もう少しツッコむと、

役員報酬を全額損金にするためには法律上のルールに従ってください。

このルールを無視した場合は損金にできません。

というコトになっています。

このルールが結構やっかいで、大きく3つに分かれています。

そのうちの1つが「定期同額給与」といわれているヤツです。

(あとの2つは「事前確定届出給与」ってヤツと「利益連動給与」ってヤツですが、

ここいらは追ってお話ししたいと思います。)

一般的に「役員報酬の規定」という場合は、この「定期同額給与」ってヤツですので、

今回はコイツにフォーカスしてみます。

 

「定期同額給与」とは、

その名前のとおり「役員報酬を毎月同じ時期に同じ金額を支給して下さい」ということです。

毎月同じ金額というと、いつ変更できるんだ?というツッコミがあると思いますが、

この変更のタイミングも決められていて、決算終了後3ヶ月以内となっています。

 

ちなみに「損金不算入」とは、決算書とかでは経費にしてあるけど、

法人税を計算する時にはマイナスできませんというコトです。

そうすると、

その分まで法人税がかかってしまうので、これだけを考えると「払い損」になってしまいます。

 

話が飛びましたが、この2つは、ぱっと見ると同じことを言っているようにとれますが、

実際の内容は全く違います。

 

会社法上は、ただ「金額を決めて株主の承認をもらってください」といっているだけですが、

法人税法上は

「役員報酬は原則として損金不算入。ただし一定の手続きに沿っていればその分は認めます」

とされてます。

 

役員報酬といえども、働いた人に対する対価なので、おかしいといえばおかしいのですが、

なぜか税法上はこう決まっているため仕方ありません。

 

そうすると経営者としては節税の事を考えて、役員報酬の額は全額損金にしたくなります。

 

逆に経営者であれば事業年度の2/3くらいを過ぎたころに

「今年の利益は思わしくないから、いっそのこと自分の役員報酬をカットして穴埋めするか」

という判断を下すこともあるかもしれません。

 

この場合会社法上では総会による承認が必要なため、臨時総会を開いて承認をもらえばいいのですが、

法人税法上はそういうわけにはいきません。

定期同額給与の規定において「変更」とあるように、

「昇給」だけではなく「減額」についても、決算終了後3ヶ月以内なんです。

 

さらには役員に支払うボーナス「役員賞与」についても、コイツがからんできます。

 

長くなりそうなので、これは次につなげます・・・